解剖学が苦手な人ほど伸びる。ピラティス指導に必要な「身体の見方」

はじめに

「解剖学がどうしても苦手で…」

養成コースの中で、
この言葉を口にする人はとても多いです。

筋肉の名前が覚えられない
起始・停止が頭に入らない
教科書を見てもピンとこない

でも実は、
解剖学が苦手だと感じている人ほど、指導が伸びることがあります。

この記事では、
「解剖学ができない=向いていない」という誤解をほどきながら、
ピラティス指導に本当に必要な“身体の見方”についてお話しします。

1. 筋肉名を覚えても、指導はうまくならない

養成コースでは、どうしても
「どの筋肉が働いているか」に意識が向きがちです。

もちろん、解剖学の知識は大切です。
でも、それだけで指導がうまくなるわけではありません。

なぜなら、
人の身体は一つの筋肉だけで動いていないからです。
• ある筋が働けば
• 別の筋は伸ばされ
• 関節が動き
• 体重が移動し
• バランスが変わる

こうした「全体の流れ」を見ないと、
実際の動きは理解できません。

2. 動きは「部分」ではなく「つながり」で起きている

例えば、
股関節がうまく動かない人がいたとき。

「この筋肉が硬い」
「この筋が弱い」

そう考えるのは自然ですが、
それだけでは足りません。
• 足関節の動きはどうか
• 体幹は安定しているか
• 呼吸は止まっていないか

身体は、常につながりの中で代償します。

解剖学が苦手な人は、
「名前」よりも
「なんとなくの違和感」に先に気づくことがあります。

その感覚は、とても大切です。

3. 制限があると、どこかが代わりに頑張る

身体はとても賢いです。

ある場所が動かなければ、
別の場所がその役割を引き受けます。
• 股関節が動かない → 腰が頑張る
• 肩が上がらない → 首が頑張る
• 足が使えない → 上半身でバランスを取る

この「代わりに頑張る動き」を見る視点が、
ピラティス指導ではとても重要です。

解剖学が苦手な人ほど、
「ここが変だな」「無理しているな」
という感覚を素直に受け取れることがあります。

4. 「ここが悪い」という見方を手放す

解剖学を学び始めると、
つい「原因探し」をしたくなります。
• ここが弱い
• ここが硬い
• ここがダメ

でも、身体は悪い部分の集合体ではありません。

今その動き方をしているのには、
ちゃんと理由があります。
• 安全を守るため
• 痛みを避けるため
• 今の身体で精一杯やっている

そう考えると、
指導の言葉も自然と変わっていきます。

「直す」ではなく
「選択肢を増やす」

これが、ピラティス的な身体の見方です。

5. 身体を“全体”で見ると、指導が楽になる

解剖学が苦手な人が伸びる理由は、
完璧な答えを持とうとしないからかもしれません。
• まず動きを見る
• 次に違和感を感じる
• それから仮説を立てる
• エクササイズで確かめる

この流れが自然にできると、
指導はとてもシンプルになります。

分からないことは、
あとから知識で補えばいい。

大切なのは、
目の前の身体を
「理解しようとする姿勢」です。

おわりに

解剖学が苦手だと感じているあなたは、
決して遅れていません。

むしろ、
身体を丸ごと見ようとしている途中なのだと思います。

ピラティス指導に必要なのは、
暗記力よりも
観察力と想像力。

解剖学は、
それを支えてくれる道具のひとつです。

このブログが、
「分からない自分でも大丈夫」
そう思えるきっかけになれば嬉しいです😊

投稿者プロフィール

田村 恵美
田村 恵美
国家資格を有するPHIピラティスのマスタートレーナー
身体機能改善とパフォーマンスアップに定評のある『PHIピラティス』をベースとしたオーダーメイドのマシンピラティス・パーソナルトレーニング指導を得意としております
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