ピラティスと運動学習 —— “動きを学ぶ身体”を育てるメソッドとしてのピラティス

ピラティスは「身体の使い方を再教育するメソッド」とよく言われます。
その言葉の通り、ピラティスは単に筋力や柔軟性を高めるだけではなく、

身体が“どう動きを学習するか”というプロセスを活かしたトレーニングシステム

です。

この記事では、ピラティスと運動学習(モーターラーニング)の関係をわかりやすく解説し、
レッスンに応用できる視点を紹介します。

運動学習とは?

運動学習とは、

経験によって動作が持続的に変化していくプロセス

のことです。

ただ“できるようになる”だけでなく、
• 再現性が高まる
• 効率や協調性が上がる
• 無意識でもできるようになる
• 状況に応じて微調整できる

といった変化まで含まれます。

つまり、運動学習は 身体が賢くなる過程 そのもの。

ピラティスはまさにそれを促進するメソッドです。

 

ピラティスが運動学習と相性抜群な理由

① 動きを“感じる”ことでフィードバックが強化される

運動学習では、
外部フィードバック(言葉・触診など) と
内部フィードバック(体性感覚) の両方が重要です。

ピラティスは呼吸と集中を土台にして、
• 骨盤の位置
• 肋骨の広がり
• 胸郭の回旋
• 足裏の荷重
• 体幹の連動

などを細かく感じ取らせるため、内部フィードバックが非常に豊か。

結果として動作の習得が早まり、癖も修正しやすくなります。

 

②反復が“同じ動きにならない”構造が良い

ピラティスは一見同じ動作の繰り返しのように見えますが、実際には、
• 呼吸
-動きの方向
• 支持面
• スプリングの反力
• 姿勢

などが毎回微妙に変わります。

つまり、

「似ているけれど全く同じではない動きの反復」が自然と起きる

という構造。

運動学習ではこれを バリエーション練習(変動練習) と呼び、
再現性や応用力を高めるのに非常に効果があります。

③正しいフォームを“探しながら”動くことで自己組織化が起きる

ピラティスは「正しい姿勢」や「ニュートラル」を意識しますが、
これは単に形を真似することではなく、

その時の自分の身体で最適なバランスを見つける作業

です。

この「探しながら動く(Exploratory Movement)」が、
運動学習の中心となる 自己組織化(Self-organization) を促します。

自分の身体を主体的にコントロールできるようになり、癖が自然に改善されます。

ピラティスで運動学習を高める指導アイデア

① 外部フィードバックを“最小限”にする時間をつくる

指示を細かく出しすぎると、自分で感じる力が育ちません。
レッスンの中に、あえて
• キューを減らす時間
• 自由に探索する時間

を入れると、内部フィードバックが強化されます。

② 少しずつ条件を変える(変動練習)

例:ブリッジ
• 足幅を変える
• 支持面を変える
• リーチの方向を変える
• スプリングの重さを変える(リフォーマー)

→ 適応力が上がり、動きの精度が高まる。

③ 「失敗」をあえて許容する

運動学習では、エラーこそ情報。
毎回完璧を目指す必要はありません。

むしろ
「少し不安定」
「ちょっと難しい」
くらいの方が学習は深まります。

④ スローダウン → 通常スピード の流れを使う

ゆっくり練習すると感覚が正確になります。
そのあと通常スピードで動くと、動作の質が一段階上がります。

ピラティスを通して得られる運動学習の成果

ピラティスを継続すると、
• 無意識に姿勢が改善する
• 動きがスムーズで疲れにくくなる
• コントロールが効くようになる
• 体幹が自然に働く
• 日常動作やスポーツに動きが転移する

こうした変化が起こるのは、
筋力や可動域の向上だけではなく、

「身体が効率的な動きを学習した」結果

です。

これこそ、ピラティスがリハビリからトップアスリートにまで支持される理由です。

最後に

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投稿者プロフィール

田村 恵美
田村 恵美
国家資格を有するPHIピラティスのマスタートレーナー
身体機能改善とパフォーマンスアップに定評のある『PHIピラティス』をベースとしたオーダーメイドのマシンピラティス・パーソナルトレーニング指導を得意としております
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