こんにちは、ピラティストレーナーの田村めぐみです^^
人はどのように身体の動きを学習し、習得していくのか?
前回の記事にて、”CCLM(Conscious Competence Learning Matrix)”という考え方を用いてそれらを考察していきました
そしてそれらは、他の運動学習の考え方のモデルと共通する部分が多くあります
今回は
『FittsとPosnerの3段階モデル』
『守・破・離』
という考え方を通して、動作の学習の理解を深めて行きたいと思います!
FittsとPosnerの3段階モデル
リハビリテーションにかかわる多くのテキストに頻繁に登場する考え方である、FittsとPosnerの3段階モデル(”Fitts”さんと”Posner”さんが考案されました)
彼らは、新しいスキルを学ぶ際に、『認知→連合→自動』という3つの段階があることを提示しています
認知段階
特徴
・運動を行うために「何が必要なのか?」を明らかにしようとする段階
・多くの注意を払い、意識的に課題を達成する段階
・目的となる運動スキルを獲得することで「何が得られるのか?」を「認知」できる段階
・動きは遅く、一貫性がなく、非効率的
・かなりの「認知的活動(意識的な制御)」が必要
CCLMでは、”レベル2”に近い状態と考えられます
連合段階
特徴
・動作の、より細かい調整をする段階
・より流れるように動作が行われ、信頼性が高まり、効率的
・「認知的活動(意識的な制御)」はより少ない(多くのことに注意を払わなくてもより効率的に動作が遂行される)
・動作は、部分的に「自動化(意識しなくても制御)」する
CCLMでは、”レベル3”に近い状態と考えられます
自動段階
特徴
・動作は、正確で一貫性があり、効率的
・「認知的活動(意識的な制御)」をほとんど、またはまったく必要としない
・意識することなく、スキルの他の側面にも注意が向けられる
・無意識でも動作を正確に遂行できるようになる
・ほとんどミスがなく正確なだけではなく、一貫性のある運動になる段階
・動作は、ほとんど「自動化(意識しなくても制御)」する
CCLMでは、”レベル4”に近い状態と考えられます
「動作が上達する」とは?
動作学習は、
何がわからないのかがわからない段階(”Unconscious Incompetence”)から
↓
認知的(意識的”Conscious”)に課題を遂行していく段階に徐々に移行され
↓
運動学習が進むにつれ、動作スキルはより「自動化(意識しなくても制御”Unconscious”)」されていき
↓
遂行”competence”できるようになる
というような段階を踏むことが多くある
「動作が上達する」ということは、無駄な動きが少なくなり、最小限の力で最大限のパフォーマンスを発揮できるようになることにもつながるのではないかと考えられます
守・破・離(しゅ・は・り)という考え方
守・破・離(しゅ・は・り)とは?
日本の武道や茶道などで、修業における段階を示したもの
「守」は、師や流派の教え、型、技を忠実に守り、確実に身につける段階(認知的・意識的な課題の遂行)。基本の習熟
↓
「破」は、他の師や流派の教えについても考え、良いものを取り入れ、心技を発展させる段階(部分的な自動化、効率的な動作への発展)。応用
↓
「離」は、一つの流派から離れ、独自の新しいものを生み出し確立させる段階。創造
(自動的に、より正確な動作へ遂行)
基本が大事
基本があるからこそ(守)応用へつながり(破)、応用があるからこそ創造(離)へつながる
動作の学習は、まず「基本」が大事で、そこから自動的な動作へ熟達するまでの「過程」が大事なのではないか?ということを私は改めて考えました
ただし指導者が気をつけたいことは、「考え方の押し付け」ではない、ということも同時に考えるべきことなのかなと私は思います
「ピラティスの動きが上手になる」ことが目的ではない、ということ(もちろんそれが目的で来られるクライアントもいらっしゃるかもしれませんが)
あくまでも、クライアントの「なりたい姿」を達成するためのサポートである、ということを忘れてはいけないなと、私は思っています
【参考資料】
・PHI Pilates JAPAN Original Study Guide Section Ⅲ
・臨床スポーツ医学 2016年8月号
・運動療法としてのピラティスメソッド
その他
投稿者プロフィール
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国家資格を有するPHIピラティスのマスタートレーナー
身体機能改善とパフォーマンスアップに定評のある『PHIピラティス』をベースとしたオーダーメイドのマシンピラティス・パーソナルトレーニング指導を得意としております
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