前回、こちらの投稿にて、
・理想的な姿勢(ニュートラルポジション)について
・なぜそれらが重要なのか
と言うことをお伝えいたしました
姿勢のアライメントは、運動パターンの基礎であると考えられています
そのため、それらが崩れていては、最適な動作は困難である、と考えられます
それでは、
・何故、姿勢は崩れるのか?
・それらが身体にどのように影響するのか?
今回はそれらについてお伝えいたします
何故、姿勢は崩れるのか?
主に、
・持続した姿勢(例えば、長時間座りっぱなし、立ちっぱなし等)
・特定の方向への反復動作(例えば、ゴルフのスイングやテニスのサーブ、野球のピッチングやバッティング等など)による運動パターンの変化
・それらによる脳内情報(内部モデル、ボディーマッピング)の書き換え
などにより引き起こされた筋のアンバランスが原因であるとされています
もう少し詳しく見ていきましょう
持続した姿勢(例えば、長時間座りっぱなし、立ちっぱなし等)
ここでは、「長時間の座位姿勢(ずーっと座りっぱなし)」を例にとってお伝えします
相反抑制作用(Altered reciprocal inhibition)
言葉の意味を一つ一つ分解していくと、
・相反(あい反する)・抑制(抑えられてしまう)
・altered(変えられた)
・reciprocal(相互関係、お互いの)
・inhibition(抑制)
となります
・ここで言う「あい反している」ものは何か?
「主動筋(主に働く筋)」と「拮抗筋(反対の働きをする筋)」がそれにあたります
例えば、「肘の屈曲」と言う動作においては、上腕二頭筋が「主動筋」となり、上腕三頭筋がその反対の働きをする「拮抗筋」となります
「相反抑制作用」のことを、ものすごくシンプルに言えば、
「主動筋」が収縮する際、その「拮抗筋」は弛緩する(抑制される)、と言うことです
「肘の屈曲」の例で言えば、主動筋である「上腕二頭筋」が「収縮」し、拮抗筋である「上腕三頭筋」が「弛緩」するから「肘の屈曲」と言う動作が成り立ちます
※↑このような、関節周囲の筋群の協調的な働きのことを「フォースカップル」と言います
フォース(力)のカップル(恋人同士のことを「カップル」と言いますが、その”カップル”)、です
両方が同じように収縮してしまったら?
どちらにも動かないのは容易に想像できるかと思います
では、「長時間の座位姿勢(ずーっと座りっぱなし)」で言えば?
「長時間の座位姿勢」=「股関節」は「屈曲」している状態、と考えると、
股関節屈曲筋群が「主動筋」であり、股関節伸展筋群が「拮抗筋」となります
ここでのキーワードは、”長時間の”と言うところです
さらに言えば、「使って縮んでいる」のではなく、「縮まされている姿勢のもと」縮んでしまっている、と言うことです
ずーっとその状態(縮みっぱなし)が続くと、どうなるのか?
拮抗筋は伸張(伸びきったゴムみたいな状態)されてしまい、筋が力を出すのに「抑制」がかかリ、力が出しづらくなります
長時間の座位:
・主動筋である股関節屈曲筋群は「収縮」
・拮抗筋である股関節伸展筋群は「抑制」
されている状態、と言うことになります
※ただしこの相反抑制が、ストレッチに活用されることもあります
例えばそれこそ、ハムストリングス(股関節伸展(の補助)、膝の屈曲)をストレッチしたい場合に、大腿四頭筋(主に膝の伸展)を収縮させることでよりストレッチがかかりやすくなります
↓では、それが長く続くとどうなるのか?↓
協同筋支配(Synergistic Dominance)
また言葉の意味を一つ一つ分解して考えます
・協同筋(主動筋の働きを補助する筋)
・支配(強く働く)
・Synergistic(相乗的な、協力の)
・Dominance(支配)
「協同筋」が「強く働く」とは、どう言うことか?
相反抑制作用により、筋のバランスが崩れると、本来「主動筋」として働くべき筋が、力を発揮しづらい状態となります(筋出力が低下した状態)
そのため、本来補助的な役割を担うはずの「協同筋」が、弱化した主動筋の働きを助けるために、高い筋の出力を持続的に出さなければならない状態、となります
・これを「長時間の座位姿勢(ずーっと座りっぱなし)」で例えると?
股関節の屈曲筋群(ここではわかりやすく”腸腰筋”)は、ずーっと縮みっぱなし(いわゆる”短縮”した状態)
↓
拮抗筋である、股関節伸展筋群(ここではわかりやすく”大臀筋”)が抑制され・弱化し、筋の出力は低下
※ちなみに、15分以上同じ姿勢が続くと、そのかたちが「形状記憶」され、その筋のバランスが当たり前になってしまう、と言う恐ろしい現象も起こると言われています・・・
股関節伸展筋群が抑制・弱化し、筋の出力が低下すると、どうなるのか?
「協同筋」である、ハムストリングスや脊柱起立筋群が余計に働かなければいけない状態となります
股関節の伸展筋群(大臀筋):例えば、歩く時や走るときに脚を後方へキックするときに主に使われます
歩く時や走るときに、本来一番働かないといけない大臀筋がうまく働いてくれないため、
本来補助的に働いているハムストリングスや脊柱起立筋群が過剰に使われないといけなくなり、それらが腰痛や、肉離れなどのオーバーユースなどにつながります
※特にランニングが趣味のオフィスワーカーは、それらを防ぐためにも、入念なウォーミングアップが必要、と考えられます
例えば、一家の稼ぎ頭である「お父さん」がケガでお仕事できなくなった場合、家計を支える「お母さん」やら、「子供」やら「おじいちゃん」がいつも以上に頑張らないといけなくて、いつも以上に頑張りすぎてまたけがをする、と言うのと似ているかと思います・・
関節の特定方向への運動の起こりやすさ
先ほども少しお伝えした通り、または上記の「相反抑制作用」や「協同筋支配」もまた然りですが、
・特定方向への繰り返された運動(例えば、ゴルフのスイングやテニスのサーブ、野球のピッチングやバッティング等など)
は、運動パターンの変化の原因となります
それが続くとどうなるのか?また次回に続きます・・
PHI Pilates 各種養成コースのご案内
Mat Ⅰ&Ⅱインストラクター養成コース
日時:
2019年11月14日・11月21日・12月5日・12月12日※すべて木曜日
全日9:30~17:30
Propsインストラクター養成コース
※Mat Ⅰ&Ⅱ取得後3ヶ月以降の方が対象となります
日時:
2019年10月10日・10月17日※すべて木曜日
1日目10:00~16:00
2日目10:00~17;00
講師:
田村恵美(たむらめぐみ)
・PMA®︎-CPT(Pilates Method Alliance®︎-Certified Pilates Teacher)※米国政府公認ピラティス国際ライセンス(日本で9人目に取得)
・PHI Pilates Master Trainer
・PHI Pilates Mat Ⅰ&Ⅱインストラクター養成講師
・PHI Pilates Props インストラクター養成講師
・NASM-PES(米国NASM公認パフォーマンスエンハンスメントスペシャリスト)
・SFMA(Selective Functional Movement Assesment)Level 1
・あん摩マッサージ指圧師
・栄養コンシェルジュ®︎二つ星認定
お申し込み・その他詳細はこちらから:
PHI Pilates JAPANホームページ
投稿者プロフィール
-
国家資格を有するPHIピラティスのマスタートレーナー
身体機能改善とパフォーマンスアップに定評のある『PHIピラティス』をベースとしたオーダーメイドのマシンピラティス・パーソナルトレーニング指導を得意としております
プロフィールの詳細はこちら