指導力を高める鍵は「具体と抽象」の行き来にある
ピラティスインストラクター、パーソナルトレーナー、治療家として活動していると、
* なぜか説明が伝わらない
* エクササイズはできても日常動作に繋がらない
* 評価した情報をうまく統合できない
そんな壁にぶつかることがあります。
その時に役立つ思考法が 「具体と抽象」 です。
一見難しそうですが、実は日々のセッションそのものに深く関係しています。
具体とは何か?
具体とは、目の前で観察できる事実や現象です。
例えばクライアントに対して、
* スクワットで踵が浮く
* 肩関節屈曲で肋骨が前に開く
* 歩行時に右立脚で骨盤が落ちる
* 呼吸が浅く吸気優位になる
これらはすべて具体です。
つまり「見えるもの」「測れるもの」「起きている現象」。
現場では多くの人が具体を見るのは得意です。
なぜなら毎日、
* 姿勢を見る
* 動作を見る
* 痛みを聞く
* 可動域を測る
を繰り返しているからです。
抽象とは何か?
抽象とは、複数の具体に共通する本質やパターンを捉えることです。
例えば、
* スクワットで踵が浮く
* 前屈で重心が後方に残る
* 歩行で蹴り出しが弱い
これら複数の具体から、
「足関節背屈制限による前方移動戦略の不足」
とまとめる。
これが抽象化です。
さらに、
* 肩関節屈曲で肋骨フレア
* 頚部過緊張
* 吸気優位
から、
「胸郭-横隔膜-体幹圧システムの協調不全」
と捉えることも抽象化です。
抽象は「バラバラな情報を意味づける力」と言えます。
指導現場で起こりやすい問題
①具体しか見られない人
具体だけに偏ると、
* 猫背だから胸椎伸展
* 反り腰だから骨盤後傾
* O脚だから内転筋
のように、現象に対して直接的すぎる介入になりやすいです。
すると一時的に改善しても再発しやすい。
なぜなら、本質的な問題に届いていないからです。
②抽象だけで終わる人
逆に抽象だけに偏ると、
* インナーユニット
* 筋膜ライン
* 神経系の再教育
* 連動性
など概念は語れるけれど、
で、何をするの?
となりやすい。
抽象だけでは現場に落ちません。
クライアントに必要なのは概念ではなく変化です。
優れた指導者は「行き来」している
本当に指導力の高い人は、
具体 → 抽象 → 具体
を高速で行き来しています。
例えば、
具体を見る
* 右股関節伸展制限
* 左回旋優位
* 呼気不全
↓
抽象化する
* 骨盤-胸郭の分離不全
* 前後方向への推進不足
* 回旋代償戦略
↓
再び具体に落とす
* 股関節伸展を伴うブリッジ
* 呼気誘導しながら胸郭下制
* 片脚立位で荷重再学習
この往復運動があると、
評価と介入が繋がります。
クライアント指導でも具体と抽象は重要
指導時の声かけも同じです。
例えば、
「骨盤をニュートラルに」
は抽象的すぎる場合があります。
代わりに、
* 坐骨で床を感じましょう
* 恥骨とみぞおちを少し近づけるイメージです
* 息を吐いて下腹部を薄く保ちます
これは具体です。
ただし最終的には、
「体幹で支えながら四肢を動かす感覚」
という抽象概念に繋げていく必要があります。
つまり学習もまた、
具体から入り、抽象で理解し、再び具体で定着する
流れが重要です。
まとめ
インストラクター・トレーナー・治療家に必要なのは、
知識量だけではありません。
本当に重要なのは、
目の前の具体から本質を捉え、再び具体に落とし込む力。
つまり「具体と抽象の往復運動」です。
* 評価が上手い人
* 指導が分かりやすい人
* 変化を出せる人
は、この思考が自然にできています。
もし今、
「知識は増えているのに現場でまとまらない」
と感じるなら、
新しい知識を増やす前に、
具体と抽象の行き来ができているか を見直してみると良いかもしれません。
指導力は、知識の量ではなく「整理力」で伸びていきます。
投稿者プロフィール

-
国家資格を有するPHIピラティスのマスタートレーナー
身体機能改善とパフォーマンスアップに定評のある『PHIピラティス』をベースとしたオーダーメイドのマシンピラティス・パーソナルトレーニング指導を得意としております
プロフィールの詳細はこちら
最新の投稿
ピラティストレーナーの勉強部屋2026年5月4日資格取得後に伸びる人の共通点
ピラティストレーナーの勉強部屋2026年5月4日成長する指導者は何が違うのか?
ピラティストレーナーの勉強部屋2026年5月4日ピラティス指導で差がつく「具体と抽象」伝わるキューイングと思考整理術
ピラティストレーナーの勉強部屋2026年5月4日ピラティスインストラクターに必要なのは知識より読解力?
